正しい寝具選びで心と身体の「温」スイッチをオンにしよう！

あなたの身体は冷えていませんか？　近年の研究により、血流の低下がうつや不眠の大きな要因となることが分ってきました。すでに冷えを解消することで不眠を解消し、結果としてうつが軽減する事例も出てきています。ここでは、冷えとうつ、睡眠障害の関係性を解説します。

うつの原因の一つは「血流低下」

今や、日本人の50人に1人…といわれるうつ。より効果的な治療法の開発を目的に、さまざまなアプローチから研究が進められていますが、近年注目されているのが、うつ状態と脳の血流の関係です。人は過剰なストレス状態が続くと、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモンが分泌され、神経性の食欲不振やうつ状態を引き起こすほか、脳を含めた全身の血管を収縮して血流を低下させます。脳内の血流が低下すると、脳に必要な栄養素を十分に届けることができなくなり、脳が本来の機能を発揮できなくなります。また、血流が低下すれば体温も下がりがちとなるため、体の機能が低下して脳が「不調だ」と感じ、さらにうつが進行することになります。
うつの他にも、パニック障害などの精神疾患は、脳の血流低下が影響していると考えられており、脳を休めると同時に血流の流れを改善することで回復が早まります。

血流低下による身体の冷えが引き起こす睡眠障害

うつの人のもう一つの共通点は、睡眠障害に悩んでいる人が多いということ。これは、不眠と血流不良が深く関係していることを示しています。私たちの身体は、眠る際に毛細血管から体温を放出するしくみになっています。そのため、眠くなるにしたがって手足の体温が高くなり、逆に体内の深部は内臓などが休息状態に入るため体温が下がります。しかし、冷え性の人は血流が弱いため末端にある手足の体温がなかなか上がりません。結果、身体が体温を高くしようと頑張ってしまうため色々な機能が覚醒した状態となり、眠ることができないのです。また、せっかく寝入っても手足の冷たさで身体が覚醒してしまい、十分な睡眠がとれないこともあります。
加えて、血行不良がひどくなると肩こりになりがちです。疲労やストレスなどによって首周辺の筋肉が緊張し続けると血管が押しつぶされ、血液がスムーズに流れなくなって疲労物質がたまっていきます。これがどんどん繰り返されることで肩こりの症状が表れはじめるのです。たかが肩こりと思うかもしれませんが、症状が重くなると酷い痛みや頭痛、吐き気などの症状が慢性的に続くようになり、とても眠っていられる状態ではなくなって不眠症の直接的な原因になってしまいます。
以上のことから、普段から身体を冷やさないように心がけ、特に眠る際はしっかりと身体を温めることが重要だということが分ります。しかし、入眠直後には大量の汗をかくので、汗を素早く吸湿して温湿度を快適に保つことができる寝具を選ぶことが大切です。「暖かくして寝る」という単純なことが、心の健康にも大いに役立つのです。

適切な寝具選びで、うつの原因である冷えと睡眠不足の解消も

睡眠不足は、うつ、パニック障害、PTSDなど、多くの心の病の原因にもなっています。逆に言えば、ぐっすりと眠ることで大きく快方に向かう可能性が高いのです。ただ、無理に眠ろうとするとかえって焦ってしまうこともあるので、まずは比較的簡単にできる寝具の見直しからはじめてみてはいかがでしょうか。近年は、さまざまな機能性素材を用いた寝具が登場していますが、特に、血行に着目した機能性素材としては、以下が注目されています。

■光電子繊維
光電子繊維とは、遠赤外線セラミックスを織り込んだ繊維で、人の体温を吸収して遠赤外線エネルギーに変換。再び人体に向けてエネルギーを放出するはたらきがあります。また、ムレを抑え、抗菌・防臭にも効果を発揮します。

■ゲルマニウム繊維
岩盤浴などに使われる天然鉱石のゲルマニウム・ジルコニウムを微細に粉砕し、織糸に練り込んだ繊維。身体の生体電流を活性化してめぐりを促します。日本成人病予防協会も推奨している健康サポート繊維です。

■トルマリン繊維
トルマリンはブラジルや中国で産出される天然鉱石で、表面が帯電する特性を持ち、これにより遠赤外線を発するといわれています。このトルマリンを微粒子化してポリエステルなどに練り込んだのがトルマリン繊維。遠赤外線効果で身体を暖めるほか、消臭効果もあると言われています。

■ホルミック繊維（ラジウム鉱石繊維）
ホルミック繊維とは、岩盤浴などにも使われるラジウム鉱石を練り込んだ繊維です。ラジウムの遠赤外線効果により、温泉に入ったような保温性を得られるほか、細胞の再生をサポートする効果が期待できると言われています。

■バイロフト繊維（ユーカリパルプ繊維）
ユーカリパルプを原料として、すぐれた保温性と吸湿性を持つ繊維がバイロフト繊維です。独自の扁平断面構造により生地の内部に特殊なエアポケットをつくり出し、そこに空気を含ませることで高い保温性を得ています。一方、汗などの水分は容易に排出されるため、ムレずに快適さを保ちます。

心の不調に陥ると、そこから何とかして抜け出したいという気持ちはあるものの、時に、前向きな努力を継続することが困難になるときがあるでしょう。そんなときは、心身をほんわか暖める機能性寝具が力を発揮してくれます。